top

2015 Sep. 3

EDEN/エデン

1990年代から2000年代にかけてフランスを舞台に、レイブやエレクトロ・ミュージック誕生から世界的に広がった「フレンチ・タッチ」と呼ばれるムーヴメントは、「ダフト・パンク(Daft Punk)」「ディミトリ・フロム・パリ(Dimitri from Paris)」「カシアス(Cassius)」などのような優れたミュージシャンを数多く輩出した。

ダフト・パンク(Daft Punk)
ダフト・パンク(Daft Punk)

ディミトリ・フロム・パリ(Dimitri from Paris)
ディミトリ・フロム・パリ(Dimitri from Paris)

このフレンチ・ハウス時代の夜明けを描いた映画「EDEN/エデン」が、9月5日より全国公開される。この作品は、エレクトロ・ミュージックが台頭する世代のエネルギーや、野心を象徴する1人のDJの成功と挫折、そして、恋と友情の20年間を、第1部「パラダイス・ガラージ」、第2部「ロスト・イン・ミュージック」の2部構成で描かれる。

EDEN/エデン

90年代のフランス。エレクトロ・ミュージックが台頭する波に乗り、大学生のポールは親友とデュオ「Cheers」を結成、DJとして活動をスタート。ガラージを中心にミックスする彼らのユニットは瞬く間に人気となり、パリで最も熱いクラブで開催されるパーティの主役となっていく。

EDEN/エデン
EDEN/エデン

そして、エレクトロビートが充満した狂騒的な成功に酔いしれるうち、ポールの生活の歯車は少しずつ狂い始める。まわりが少しずつオトナになっていく中、音楽にのめり込み、狂った金銭感覚により経済状況はしだいに悪化、酒とドラッグに溺れ、恋人との関係も破綻を繰り返すようになる。やがてポールが生み出す音楽は、最先端のクラブシーンと少しずつ乖離していく…。

EDEN/エデン
EDEN/エデン
EDEN/エデン

誰もが経験するであろう若き日々の夢と挫折を、繊細で瑞々しい感覚で描くのは、「あの夏の子供たち」でカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員特別賞を受賞し、「Variety」誌で「世界で注目すべき映画監督ベストテン」に選出された女性監督ミア・ハンセン=ラヴ。その繊細で映画への深い愛を感じさせる演出が高い評価を得た。

Mia Hansen-Love

1981年2月5日にパリで生まれたミア・ハンセン=ラヴは、1998年にオリヴィエ・アサイヤス監督の「8月の終わり、9月の初め」で女優としてデビュー。2000年に再びアサイヤス監督の「感傷的な運命」で、シャルル・ベルリングやエマニュエル・ベアール、イザベル・ユペールなどフランスを代表する俳優と共演したのをきっかけに、翌年から国立高等演劇学校で本格的に演技について学び始めた。

Mia Hansen-Love

彼女の長篇映画監督デビューは、脚本も手掛けた「すべてが許される」。そして、2007年のカンヌ国際映画祭の「監督週間」で上映され、「ルイ・デリュック賞」を受賞した。構成の緻密さ、新人役者の瑞々しさが観客を魅了し、フランスでの公開時には「カイエ・デュ・シネマ」をはじめ各誌で絶賛された。

2010年には、思春期を共にしたかつての恋人に再会し、揺れ動く女心を繊細に綴った「グッバイ・ファーストラブ」を監督し、各誌で絶賛、監督としての才能を改めて世に知らしめた。今後のフランス映画界を担う存在として、今、最も注目されている。

un amour de jeunesse

また、共同脚本はミアの実の兄であるスヴェン・ハンセン=ラヴが担当。10代後半より、「ガラージ・ハウス」に特化したDJとしてキャリアをスタート。友人とともにパリのクラブでパーティーをオーガナイズし、ラジオFGで番組も持つ。

「EDEN/エデン」の終盤、主人公が執筆の講義を受けている様子が描かれているが、実際、スヴェンは20年間のDJとしてのキャリアを経た後に学業を再開。2014年9月からパリ第8大学の学生となり、文芸創作専攻の修士課程に属している。2014年に「Metier d'avenir」というタイトルの小説を発表。文芸誌「Kanyar」に掲載された。

Sven Hansen-Love

スヴェン・ハンセン=ラヴをモデルにしたこの作品は、妹と兄のコラボにより、当時のパリの熱気をそのまま切り取ったようなリアルなクラブシーンが再現されている。

そして、主人公のポールを演じるのは、パリ生まれで起業家としての顔も持つフェリックス・ド・ジヴリ。大統領や首相など歴代の要人を数多く輩出しているフランス屈指のエリート校であるパリ政治学院を卒業。在学中には学業と並行して友人と「Pain Surprise(パン・シュルプリーズ)」というエンターテイメント集団を発足、音楽イベントの企画、アーティストのプロデュースなどを行う。他にも、ミュージッククリップやCMの製作、レコーディングスタジオの運営なども手掛けた。

Felix de Givry

俳優としては、オリヴィエ・アサイヤスの「5月の後」で端役を演じた経験のみだが、22歳のときに今回の作品の主役に大抜擢。また、この作品でセザール賞新人賞にノミネート。「ELLE FRANCE」誌では「フランスを動かす50人の若者」の1人にも選ばれており、今後もマルチな活躍が期待されている。

劇中のノリノリのサウンドトラックには今や世界中で爆発的な人気を誇る「ダフト・パンク」も楽曲提供。彼らがビッグになっていく様子を、ロボットの下の素顔の彼らにそっくりな役者を起用して、実際のエピソードを盛り込みながらリアルに再現している点も見逃せない。

ダフト・パンク

さらに、フランキー・ナックルズの「The Whistle Song」をはじめ、次々繰り出される豪華なトラックリスト。シカゴ・ハウスのレジェンド、テリー・ハンターやラリー・レヴァンとも並び称されるトニー・ハンフリーズなどの本人出演も要チェック。

Tony Humphries
Tony Humphries

予告動画には「ダフト・パンク」の楽曲が使用されており、 代表曲「One More Time」から「Wiyhin」へとつながるくだりは、主人公の栄光と挫折を感じさせる。

DJとして一気にパーティーの主役となり、成功し、やがて、最先端のクラブシーンに遅れていく主人公たち。対して、今や世界中で爆発的な人気を誇るエレクトロ・デュオ「ダフト・パンク」が誕生する様子を実際のエピソードを盛り込みながらリアルに再現しているのも注目だ。

EDEN/エデン

往年のクラバーから若者まで、次々と繰り出されるクラブシーンのトラックリストに揺られながらこの作品を楽しむも良し、また、切なくほろ苦い青春音楽映画の決定版として心に刻みたい作品である。

個人的にはクラブよりディスコに懐かしさを感じる世代である。それもバブル期の喧騒とした華美な空間ではなく、大学生の頃にたまに遊びに行った赤坂の「ムゲン」や「ビブロス」のディスコ黎明期の空間。数少ない我が青春の思い出である。

 
映画「EDEN/エデン」 予告編
 
※ユニークなグルメ情報「軽妙洒脱」のフェイスブックファンサイト。「いいね」をよろしく!

 
backnumber
 
<< Back Next >>
backnumber
 
pagetop