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2015.Feb 22

シェルビー・マスタング

フォード・マスタングは、当時副社長であったリー・アイアコッカの指導下で、第二次世界大戦以降に出生したいわゆる「ベビーブーマー」世代向けの中型車として開発がスタートした。

1964年4月に開催された「ニューヨーク万国博覧会」の初日に発表された初代マスタングは、低価格でスポーティーな外観と充分な性能、「フルチョイスシステム」と呼ばれる多彩なオプション群と巧みな広告戦略によって、ターゲットだったベビーブーマー以外の心も掴み、1960年代中盤の好景気と相まり、T型フォード以来と言われる同社の大ヒットとなった。

Mustang

ちなみに、「マスタング」とは「野性馬」を意味し、その名は第二次世界大戦後期に活躍した戦闘機ノースアメリカンP-51マスタングともイメージを重ねたと言われている。当初はイタリア北部の都市の名前を取った「トリノ」という名前になることが決定していたが、当時のフォード会長のヘンリー・フォード2世がイタリア人のクリスティーナ・ベットーレ・オースティンという女性と不倫中であったため、スキャンダル報道に油を注ぐようなイタリア的ネーミングを避け、広告代理店と再考した結果「クーガー(アメリカライオン)」と「マスタング」の2つの名が残り、最終的に「マスタング」に決定したという逸話が残っている。

最終的に「マスタング」に決定したという逸話が残っている

ちなみに、1965年にはファストバックが追加され、トップモデルの「GT」1967年モデルは、映画「ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT」に緑色に白のストライプバイナルグラフィックススタイルで登場。そして、1968年モデルはスティーブ・マックイーン主演の「ブリット」に登場。

1968年モデルはスティーブ・マックイーン主演の「ブリット」に登場

また、フォード・モーターはマスタングの販売促進のため、「SCCA(スポーツカー・クラブ・オブ・アメリカ)」のロードレース参戦を決意。マスタング・ファストバックをベースにしたロードレース用のハイパフォーマンスモデルの開発をキャロル・シェルビーの会社に委託し、GT350の開発に至った。

当時の「SCCS」Bプロダクション・ホモロゲーション取得には、100台以上の製造販売などが条件であったが、レース出場の約款には市販車から軽量化などのライトチューニングのみ(エンジン、サスペンション、ブレーキ変更不可)で行なうというものであり、そのためには市販車がそのままレースに適応できる状態にする必要があった。GT350はこうした当時のレースシーン、アメリカのナショナリズム、オイルショック前の時代背景といった複合的背景をもって生まれた「シェルビー・マスタングGT350」である。

シェルビー・マスタングGT350

「シェルビー・マスタング」は、レース向けのチューニングカーで、マスタングの上位モデル/フラッグシップモデルとして、フォード・モーターより1965年から1969年まで製造・販売された。一部のエンスージアストから人気があり、フォードの懐古路線戦略により2006年に復活。

2006年に復活

そして、LAモーターショーで「マスタング」のハイパフォーマンスバージョンとして発表された「シェルビー GT350 マスタング」は、この春より日本でも発売されるフルモデルチェンジした第6世代となる新型「マスタング」をベースにした高性能モデル。1965年にデビューした往年のビッグネームの復活であり、初代「シェルビー・マスタング」のハイパフォーマンスバージョンへのオマージュともいえるモデルである。

発表された「シェルビー GT350 マスタング」
シェルビー GT350 マスタング

伝説のネーミングをそのまま新型マスタングでも使用し、ライバルの「シボレー カマロ Z28」や「シボレー カマロ ZL1」に対抗可能な、まさに現代に蘇ったレジェンドネームといえる。

シェルビー GT350 マスタング
シェルビー GT350 マスタング

フロントセクションは専用デザインで、「コブラ」のエンブレムを備えた開口部の大きなグリルやバンパー、盛り上がったアルミ製の軽量ボンネット、そのフロントバンパーから取り入れたエアを逃がすアウトレットなど装備。アグレッシブなフォルムにさらに磨きをかけ、一目でノーマルモデルとの違いを誰にでも簡単に分からせる。ちなみに、初代モデルの「シェルビーGT350」のボンネットはFRP製。
「コブラ」のエンブレムを備えた開口部の大きなグリルやバンパー

変更されたフロントに収まるエンジンは、フォードがいままでに生産してきた量産エンジン史上最強といえる自然吸気ユニット。一般的なエンジンに搭載される90度角のクランクシャフトではなく、レース由来となる180度のフラットプレーン クランクシャフトを採用し、これは市販車でフォード初となる本格的な設計だ。

5.0リッターから5.2リッターに排気量を拡大したV8エンジンは、最高出力372.8kW(506ps)、最大トルク474.5Nm(48.4kgm)以上と発表されている。これに組み合わせられるのは6段MTのみ。硬派な存在であることは、こちらもフォード車初となるマグネライドダンパーの装着や、ツーピースのフロント394mm、リア380mm径をもつブレンボ製ブレーキローターや、4ピストンキャリパー、専用LSD、フロント10.5インチ、リア11インチのリム幅を持つ19インチの専用ミシュラン「パイロット スーパースポーツ」などもからも予想可能。

シェルビー GT350 マスタング

インテリアでは、4点式シートベルに対応するバックレストに2つの開口部をもったレザーと、パワーテックと呼ばれる表皮のコンビネーションデザインを採用したレカロ製のバケットシートや、D字シェイプのステアリングホイールなど、こちらもスポーティなエクイップメントが満載。

4点式シートベルに対応するバックレストに2つの開口部をもったレザーと、パワーテックと呼ばれる表皮のコンビネーションデザインを採用したレカロ製のバケットシート
D字シェイプのステアリングホイール

しかし、その一方で、マスタングに採用される8インチのタッチパネルを採用した先進のインフォテイメントシステム「マイフォードタッチ」や、デュアルゾーン オートエアコン、シェーカー製オーディオシステムなども標準装備し、スポーティで快適な空間を構築している。

初代モデルで登場した伝説のネーミングがそのまま復活したという事実はもちろんだが、「Z28」や「ZL1」など、ハイパフォーマンスモデルをラインナップする永遠のライバルたるシボレー「カマロ」に対抗するモデルとしても、アメリカンスポーツカーファンにも注目の「シェルビー GT350 マスタング」である。

シェルビー GT350 マスタング

初代モデルで搭載されていた最高出力224kW(304ps)の3.7リッターV6は、500psオーバーのV8となったが、栄光の「コブラ」のエンブレムを受け継ぐ存在としての輝きは21世紀でも健在である。欧州車に比べ、繊細さに欠く武骨なイメージの「シェルビー GT350 マスタング」だが、マッスルカーとしての存在感は絶大だ。

 
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