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2014.jul. 28
アムステルダム市立美術館

アムステルダムにある大小さまざまな美術館の中で、ひときわ異彩を放つのが、ミュージアム広場に建つ「アムステルダム市立美術館」。アムステルダム市南部地区の「ゴッホ美術館」や「アムステルダム国立美術館」、「コンセルトヘボウ(コンサートホール)」に近い場所にある。

2012年のリニューアルオープンで斬新なデザインの新館がお披露目され、地元の人からは「バスタブ」の愛称で親しまれている。

地元の人からは「バスタブ」の愛称で親しまれている

「アムステルダム市立美術館」は、カレル・アペルやアンディ・ウォーホル、マルレーネ・デュマスらの作品を所蔵する近現代美術館。赤レンガのファサードと尖塔が美しいネオルネサンス建築の本館は、アドリアン・ヴィレム・ヴァイスマンによって1895年に設計され、自然光を取り入れた展示室や、荘厳なインテリアが有名。

アドリアン・ヴィレム・ヴァイスマンによって1895年に設計

1954年には美術館の近代化と国際化を推進したウィレム・サンドベルフ元館長により新館が増設された。今や世界中の美術館でお馴染みの白い壁はサンドベルフ元館長が「アムステルダム市立美術館」から流行させたもので、当時、その展示スペースは「ホワイト・キューブ」と呼ばれていた。そして、応用美術や音楽、映像など、コレクションのジャンルも広がった。

2003年になると、再び老朽化した設備の修復とスペース不足解消のための工事がスタート。デザインを担当したのは、アムステルダム出身の建築家メルス・クローウェル。増床部が撤去され、19世紀のヴァイスマン建築が美しく蘇り、また、現代のニーズに適う機能的な新館(愛称:バスタブ)が増築された。

新館(愛称:バスタブ)が増築された。

真っ白で巨大なバスタブのように見えるのは、広大な展示スペースを備えた新館。一見するとかなり未来的な建築物だが、いたるところにヴァイスマン設計による本館との調和の工夫が施されている。

いたるところにヴァイスマン設計による本館との調和の工夫が施されている

メルス・クローウェルは、新館が本館の赤レンガを隠してしまわないよう、バスタブを宙に浮かせて地階をガラス張りにした。バスタブの庇の高さも本館に合わせている。また、インテリアも壁材やライトフィルターを統一して、本館と新館をシームレスな空間に仕上げた。

軽やかな印象のバスタブは、鉄より5倍も強い複合素材のパネルで覆われ、飛行機の塗料でコーティングされており、そして、サンドベルフ元館長へのオマージュとして鮮やかな白一色に塗装されている。クローウェルが「つやつや、華やか、真っ白」と誇る新館は、赤レンガが美しいヴァイスマンの本館の最高の引き立て役となり、新館自身も花形のランドマークとなった。

、新館自身も花形のランドマークとなった

今回のプロジェクトでは、「アムステルダム市立美術館」とミュージアム広場の関連性も重視され、クローウェルは美術館建築が広場の景観を損なわないよう、展示ホールの大部分を地下に建設した。

展示ホールの大部分を地下に建設
展示ホールの大部分を地下に建設

エントランスは広場側に移され、美術館と広場を行き来する人の動線もスムーズになった。広場と一続きになった前庭では、インスタレーションやパフォーマンスなどの野外イベントが催される。

2014年には、「アムステルダム市立美術館」に隣接する「ゴッホ美術館」のエントランスも、ミュージアム広場内に移設される予定。クローウェルは、これからの時代はミュージアム広場が単なる「街の真ん中にある芝」に終ってしまわないよう、美術館同士がコラボや野外文化イベントで盛り上げていくことになるだろうと、将来の展望を語っている。

2014年には、「アムステルダム市立美術館」に隣接する「ゴッホ美術館」のエントランスも、ミュージアム広場内に移設される予定

余談ながら、「アムステルダム市立美術館」では、1986年3月に精神病を病んでいた男が、「バーネット・ニューマン」の「Who's afraid of red, yellow and blue III」という絵をカッターで切りつけるという事件が発生した。そして、彼は8か月の禁錮と2年間の試験観察に処され、3年間美術館への出入りが禁止された。しかし、1997年11月に同じ男が、同じくニューマンの絵「Cathedra」を切りつけた。裁判で彼は心神喪失を主張し、無罪となったが、永久に美術館への立入りが禁止されることになった。

また、1988年5月には美術館からゴッホの「カーネーションのある花瓶」、ヨハン・ヨンキントの「ヌヴェールの通り」、セザンヌの「瓶とリンゴのある静物」という3点の油絵が盗難に遭った。その後、1988年5月、買い手を装った警察により3作品はいずれも無傷のまま取り戻された。犯人は逮捕され、有罪判決を受けた。

 
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