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2013.Oct. 16
アイリッシュ・ウイスキー

ウイスキーは蒸留酒の1つで、大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を麦芽の酵素で糖化し、これを発酵させ蒸留したものである。

ウイスキーは蒸留酒の1つ

ウイスキーの一般的な製法としては、麦を発芽させ、その麦芽に含まれる酵素を利用してデンプンを糖化させる。この方法自体はビールの仕込みとほぼ同じであり、これを濾過して麦汁を得て、これを酵母によって発酵させるとアルコール度数7〜8%の「ウォッシュ(Wash) 」と呼ばれる液体となる。これを単式蒸留器で蒸留。一般に複数回の蒸留を終えた際のアルコール度数は60〜70%で、色は無色透明。これは「ニューポット」と呼ばれるのものである。蒸留液は木製の樽に詰められ、数年以上エイジングして熟成させることによって豊かな風味と色を呈する。

ウイスキー原酒は熟成により、樽毎に異なる風味に仕上がるものであり、最終的にはこのいくつかの樽の原酒を調合し、香味を整えてから度数40%程度まで加水し、瓶詰めされ出荷される。また、低価格品でも高級品でも、同一メーカーであれば同じ原料と同じ製法であるところが、日本酒やワインなどの醸造酒とは大きく異なる点である。

ウイスキー原酒は熟成により、樽毎に異なる風味に仕上がる

ウイスキーは産地によって原材料や製法に違いが見られ、代表的なものには「スコッチ・ウイスキー」「アイリッシュ・ウイスキー」「アメリカン・ウイスキー」「カナディアン・ウイスキー」「ジャパニーズ・ウイスキー」などに分類される。

英国スコットランドで造られるウイスキーは単に「スコッチ」と呼ばれることが多く、仕込みの際に「泥炭(ピート)」で麦芽を燻蒸するため、独特の「香気(スモーキー・フレーバー)」があるのが特徴。アイルランドで造られる「アイリッシュ・ウイスキー」は、大麦麦芽のほか未発芽の大麦やライ麦、小麦なども原料として使用し、最大の特徴はピートによる燻蒸を行わないことと、単式蒸留器による蒸留回数が3回であること。これにより、一般的なスコッチウイスキーよりもまろやかな味わいに仕上がる。

スコッチ

また、「バーボン」と呼ばれるケンタッキー州バーボン郡を中心に造られるウイスキーは、トウモロコシを主原料とし、内側を焼き焦がしたオーク樽で2年以上熟成させる。そして、広義の「バーボン・ウイスキー」に含まれる場合もあるテネシー州を中心に造られている「テネシー・ウイスキー」。「バーボン」との違いは、蒸留したばかりの原酒を同州産のサトウカエデの炭で濾過した後に樽で熟成するところで、有名なブランドには「ジャック・ダニエル」(Jack Daniel's) 」がある。どちらも「アメリカン・ウイスキー」として分類される。

ack Daniel's

「カナディアン・ウイスキー」はもちろんカナダ原産。トウモロコシを主原料とするベースウイスキーとライ麦を主原料とするフレーバリングウイスキーをブレンドして作られ、「アイリッシュ・ウイスキー」より更におとなしい風味であることが一般的。一方で、少数だがスコッチスタイルのウイスキーも生産されている。

そして、1918年よりスコットランドに留学した竹鶴政孝によってスコッチウイスキーの伝統的製法が持ち帰られたことが端緒である「ジャパニーズ・ウイスキー」。ちなみに、竹鶴は「壽屋(現サントリー)」に在籍し、1923年開設の山崎蒸溜所の初代所長となり、後に「ニッカウヰスキー」を創業した人物である。

サントリー

さらに、ウイスキーは材料によっても分類され、「モルト・ウイスキー」「グレーン・ウイスキー」「ブレンデッド・ウイスキー」「ライ・ウイスキー」「コーン・ウイスキー」などがある。

「スコッチ・ウイスキー」においてはモルトのみを原料とするもので、一般的に単式蒸留釜で2回ないし3回蒸留する。少量生産に適しており、伝統的な製法である。もっとも、大量生産や品質の安定が難しい。「アメリカン・ウイスキー」においては、大麦が原料の51%以上を占めるものを指す。なお、「アメリカン・ウイスキー」においては大麦のみを原料とするものを「シングル・モルトウイスキー」と呼ぶが、「スコッチ・ウイスキー」においては1つの蒸留所で作られたモルトウイスキーのみを瓶詰めしたものを指している。

シングル・モルトウイスキー

「グレーン・ウイスキー」は、トウモロコシ、ライ麦、小麦などを主原料にするもので、連続式蒸留機による蒸留を経るため、モルトウイスキーに較べ香味に乏しく、通常は「ブレンデッド・ウイスキー」に加えられ、風味を和らげる。しかし、高級モルトウイスキー同様の長期熟成を行った「シングル・グレーン」の最終商品も稀少ながら発売されている。

「スコッチ・ウイスキー」において、「モルト・ウイスキー」と「グレーン・ウイスキー」をブレンドした「ブレンデッド・ウイスキー」は、大量生産や品質の安定に適している。

「ウイスキー」という名称が歴史上はじめて文献に登場したのは1405年のアイルランド。しかし、15世紀当時は嗜好品としての飲用ではなく、薬であった。このときウイスキーは修道士たちによって製造されていたという。また、「ウイスキー」という言葉の由来は、「命の水」を意味するアイルランド語の「uisce beatha(イシュケ・バーハ)」に由来。「イシュケ・バーハ」の語源については、ゲール語で「健康の水」を意味する「ooshk-'a-pai」と呼ばれていたものがラテン語で「命の水」を意味する「uisge-'a-bagh」という言葉で呼ばれるようになり、「uisge-'a-bagh」がアイルランド語の「uisce beathadh」に変化したとされている。

「ウイスキー」という名称が歴史上はじめて文献に登場したのは1405年のアイルランド

1172年のヘンリー2世によるアイルランド遠征の時、アイルランド人が愛飲していた蒸留酒はイングランド兵によって「ushky」と誤って伝えられ、その言葉が英語の「whiskey」に転訛したという。

ウイスキーの英語の綴りが、アイルランドの「whiskey」とスコットランドの「whisky」と違いがある理由は定かではないが、本来アイルランドでも「whisky」と綴られていたが、19世紀になってダブリンの蒸留所が品質を宣伝するために「e」の一字を入れて差別化したところ、地方の蒸留所もこれに続いたために「アイリッシュ・ウイスキー」全体が「whiskey」と綴られるようになったという。

一時期は「アイリッシュ・ウイスキー」が世界のウイスキー市場のシェアの6割を占めていたが、1919年に「アイリッシュ・ウイスキー」の主要な輸出先であるアメリカで禁酒法が実施されたために生産規模が縮小。その結果、多くの蒸留所が閉鎖され、大手の蒸留所も新製品の醸造を控えるようになった。また、アメリカで密造された粗悪品に「アイリッシュ」のラベルが張られて密売されたために、「アイリッシュ・ウイスキー」自体の評判も落ちていった。

アメリカで禁酒法が実施

さらに、アイルランド内戦で国内の経済力が低下したために多くの蒸留所が閉鎖され、戦後、アイルランド自由国の独立が達成されたが、独立の報復として「アイリッシュ・ウイスキー」はイングランドとその植民地の市場から締め出しを受けた。そして、アメリカでも「スコッチ・ウイスキー」に優位の座を譲ることとなった。

18世紀にはおよそ2000の小規模な蒸留所が乱立していたが、現在では「ブッシュミルズ蒸留所」「新ミドルトン蒸留所」「クーリー蒸留所」「キルベガン」の4つの蒸留所で、「アイリッシュ・ウイスキー」が造られているにすぎない。ただ、英国をはじめアイルランド移民が多く住むアメリカなどでは、「アイリッシュ・ウイスキー」の人気は根強く、近年になって徐々に盛り返しているようだ。

18世紀にはおよそ2000の小規模な蒸留所が乱立

スコットランド人であるジョン・ジェムソンがアイルランドのダブリンに渡り、1780年に設立したのがジェムソン社。そこで「ジェムソン・ウイスキー」の確固たる地位を確立し、1805年までに世界でナンバーワンのウィスキーになっていた。

ジェムソン・ウイスキー

「ジェムソン」は単式蒸留器用いアイリッシュの伝統的製法である、ピートを炊かずに蒸留回数をスコッチの2回に対し、3回大麦以外の穀物を幾つか加えた原料を「単式蒸留器(ポットスチル)」で蒸留する。豊かな香味とスムースでクリーンな味わいは今でも世界中で愛されている。

豊かな香味とスムースでクリーンな味わいは今でも世界中で愛されている

その「ジェムソン・ウイスキー」と共にカルト映画を楽しむフィルム・イベント「JAMESON CULT FILM CULB(ジェムソン・カルトフィルム・クラブ)」が10月30日に「下北沢GARDEN」にて開催される。「ジェムソン」を飲みながらカルト映画を鑑賞し、余韻に浸りながらパーティを愉しむというユニークな企画は、映画ファンやウイスキードリンカーから注目を集め、世界各地で定期的に開催されている。日本では昨年「エイリアン」の上映会を初開催し、今回が2回目。イベントではセットやコスチュームなどで空間演出がされ、上映以外の時間も映画の世界を体感することができる。

「ジェムソン・ウイスキー」と共にカルト映画を楽しむフィルム・イベント「JAMESON CULT FILM CULB(ジェムソン・カルトフィルム・クラブ)」

今年の上映作品は、ハロウィンの時期に合わせたセレクション。第64回アカデミー賞の主要5部を独占した1991年公開の「羊たちの沈黙」はトマス・ハリス原作のサイコ・スリラー。連続殺人事件を追う女性FBI訓練生クラリス・スターリングと、彼女にアドバイスを与える猟奇殺人犯で元精神科医ハンニバル・レクターと息の詰まるような心理戦と奇妙な精神的交流が描かれた作品は、ジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスが熱演。両者がオスカーを手にした。

羊たちの沈黙

アンダーグラウンドな雰囲気が漂う会場で、「ジェムソン」を飲みながら観るのにぴったりの作品である。なお、イベントはペア75組150人を無料で招待。申し込みは「ジェムソン」スマホサイトから、締め切りは24日23時59分までに応募。応募者多数の場合は抽選が行われる。

アンダーグラウンドな雰囲気が漂う会場で、「ジェムソン」を飲みながら観るのにぴったりの作品である。

余談ながら、「ジェムソン」はグローバルで映画と関連したプロモーションを多数展開している。「ジェムソン」と映画の関わりは、世界中のフィルム・フェスティバルで紹介されている「ジェムソン・ショートフィルム・アワード」が創設された1998年から始まる。

現在「ジェムソン」は、アイルランド最大の映画祭「ジェムソン・ダブリン国際映画祭」をはじめ、イギリスの映画雑誌「エンパイア」が主催する「ジェムソン・エンパイア・アワード」、アカデミー賞授賞式前日に開催するインディペンデント系映画の祭典「インディペンデント・スピリット賞」など、世界各国の様々な映画祭やイベントをスポンサード。

世界各国の様々な映画祭やイベントをスポンサード

セレブリティや業界関係者が集うガラパーティやアフターパーティではリラックスした雰囲気の中で「ジェムソン」が振る舞われ、イベント会場内にはブランドカラー「グリーン」のディレクターチェアやグリーンカーペットが設置されるなど、映画の楽しさを共有する活動を行っている。


 
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